旅のみやげ話 09「ブリュッセルのマルシェとBOCHのお皿」

モハキハのリスタート記念イベント「北ヨーロッパ旅みやげ展」がスタートしてから一週間が過ぎました。席につく前から壁の展示を眺めてくださる方もいれば、お一人で黙々とカレーを食べ終えたあとにこっそりと感想のメッセージを残してくださる方がいたり、会計の時に「ピルスナー・ウルケル、僕もプラハで朝から晩まで飲んでいました」と教えてくださる方がいたりして、「旅」という仕掛けがお客さまとの間をグッと近づけてくれています。

カウンターから毎日眺める壁面に飾られた旅の写真たち。ヨーロッパで見て来たさまざまな風景が、おいでおいでと次の旅へと手招きしています。旅は、旅立つ決心をするまでの夢想の時間がまた楽しいもの。もちろん切符の手配やルート探し、実際に旅立ってからが旅本番と決まっていますが、この曖昧な楽しみをモハキハで味わえるのが嬉しくて嬉しくって!

旅みやげ展は4/29(月・祝)まで開催中です。
くわしくはこちら→ http://d.hatena.ne.jp/mohakiha/20130331


と、前置きが長くなりましたが、今日は久々に旅のみやげ話を。ベルギーのマルシェと蚤の市のこと。

ブリュッセルの町では毎日どこかでマルシェや蚤の市が立っています。水曜日には、小綺麗な山の手エリアのシャトラン広場のビオマルシェへ。オーガニックの果物を買ったり、ソーセージやパニーニを食べ歩いたり、コーヒー屋台で暖をとったり。

このご夫婦のリエージュ・ワッフルが美味しかった! 1個たしか0.6ユーロ。外はカリッとしていながらシロップが沁みた優しい甘さで、食べ終えてすぐに戻ってもう1個買ってしまったほど。

土曜日には、地下鉄1番線の終点ストッケルの駅前に立つマルシェへ。ここもビオ系の店が多く、週に一度だけやってくる手作りヨーグルトの屋台が大当たり。この町で暮らすなら、毎週ここで1リットル瓶で牛乳を買ったり玉子を買ったりしたい〜。花屋の店先にはチューリップやミモザが並んでいました。時に粉雪が舞う2月のマルシェながらスキップしたくなるカラフルな風景。


そしてブリュッセル滞在のいちばんの目当てだった、ジュドバル広場の蚤の市。泊まったホテルがこの広場の目の前。毎朝覗きに行くんだとワクワクしながら臨んだものの、平日でしかも真冬の市は心躍る雰囲気とは程遠く、むしろ荒んだ空気。ベルギーの陶器ブランド”BOCH”のお皿を探しても全然見つからず、なんだか思っていた蚤の市とまったく違う……。

広場の前(つまりホテルのすぐ横)にある教会は、朝6時からガゴーンガゴーン!と鐘を鳴らします。しかも15分おきに。さらに教会の半分は工事中で朝6時から大音量の騒音に叩き起こされる始末。うるさーい、ほっといてちょーだい! と、スチャダラパーの口調でぶうぶう言いながら眠りにしがみつくこと、水・木・金曜の朝。

そして土曜日の朝がやってきました。ブリュッセル滞在最終日。眠りのしっぽを掴んで離すまいとベッドでウダウダしていた店主を置いて、今日もジュドバル広場へと出かけた家人。教会の鐘はガゴーンガゴーン!と遠慮なく鳴り、広場はいつも以上にやかましい。頭痛いしもう少し寝たいのにと布団に潜り込んでいると、「はい、これでたった2ユーロ」と家人がBOCHの皿を持って帰ってきた!

窓から見下ろせば、週末のジュドバル広場は出店もお客さんも多く賑わっていました。前の晩には吹雪いていたのが嘘みたいな青空。広場には、今までにない爽やかな朝の空気が満ちていました。そこで家人が見つけてくれた、BOCHの平皿とスープ皿。1960 年代の製品のようです。数年前に家人が南船場の雑貨屋で見つけて買った平皿と同じような緑色と茶色で描かれた柄が素敵。

ブリュッセルでは蚤の市でBOCHのお皿を探すんだ」と何のあてもなく言っていたことが、忍耐強い家人のおかげでブリュッセル旅の最終日に実現しました。一人旅もたくさんしてきたけれど、今回のような旅は一人ではできないし、奇跡のような出来事は自分一人では起こせないなと感じ入ったものでした(ハイ、ここで軽くノロケ〜)。


そうして手に入れたBOCHのお皿は、帰国した今、日々の暮らしの中で活躍しています。1960年代からおそらく数々の食卓でベルギー家庭料理をのせてきたお皿を、時空を超えて、大阪の家庭の食卓で台無しにしている様子を紹介しましょう。



BOCHよ、ベルギーにいた頃には、まさか自分に豆腐ひじきハンバーグや大根とヒイカの煮物をのせられるとは思っていなかっただろう。


BOCHよ、ベルギーにいた頃には、まさか自分にわかめおにぎりをのせられるとは思っていなかっただろう。


BOCHよ、ベルギーにいた頃には、まさか自分にヤキソバをのせられるとは思っていなかっただろう。


BOCHよ、ベルギーにいた頃には、まさか自分に餃子をのせられるとは思っていなかっただろう。


BOCHよ、ベルギーにいた頃には、まさか自分に豚の生姜焼きをのせられるとは思っていなかっただろう。


BOCHよ、ベルギーにいた頃には、まさか自分に鶏肉と豆腐の卵とじをのせられるとは思っていなかっただろう。


BOCHよ、ベルギーにいた頃には、まさか自分に鯵の南蛮漬けをのせられるとは思っていなかっただろう。


BOCHよ、ベルギーにいた頃には、まさか自分にイワシの蒲焼きをのせられるとは思っていなかっただろう。



旅の思い出が暮らしの中で日常になる、という話でした。